美味しい白身系の魚が釣れたら試してほしい「若狭柚庵焼き」のつくり方をご案内します。
シンプルに焼き魚もいいけど食欲も減る真夏に、酸味と上品な塩分が同時に摂取できるこんな焼き物はいかがでしょうか?
少しだけ手間はかかりますが、口にした時の味の繊細さに驚くこと間違いないし!!
時間のあるときにぜひ試してほしい、元割烹料理人直伝焼き魚料理をお伝えします。
若狭焼と柚庵焼
今回ご案内する釣果メシは「若狭柚庵焼き」です。僕が勝手に命名しましたw 元は料理人時代に普通に柚庵焼きとして提供していた料理ですが、これら二つの料理のいいとこどりした組み合わせレシピが絶品だったので、このたび皆さんにもお伝えしたくてつくってみました。
今回の料理をより深く理解して頂くために、まずはサクッと基本的なふたつの料理について触れていきます。
若狭焼とは
若狭焼きは、福井~京都にかけて大きく内陸部に彫り込んだ若狭湾で取れたぐじ(甘鯛)を、遠方の江戸の殿様に届けるのに、当時は冷蔵冷凍輸送手段がなかったために、日持ちするよう塩をして酒で洗って輸送していたことが起源になります。
酒(実際はみりんと淡口を合わせたもの)を、回し掛けながら焼いていく魚料理を【若狭焼】と呼びます。
通常はアルコール分を飛ばした煮切り酒を用いますが、割烹など高級料理店では日本酒をだしで割って用います。
柚庵焼とは
若狭焼よりもご存じの方が多い柚庵焼。柑橘類の香りと酸味を加えた醤油ベースの下地に漬けてから焼くなじみの深い魚料理でしょう。
ゆずの香りをつけた地に漬けて焼くものがイメージされると思いますが、日本料理では夏から冬にかけて頻繁に取り入れられる魚料理で、そのときの旬の柑橘類を用います。一般的には夏~秋はすだちやかぼす、晩秋~冬の間はゆずを用いてつくられます。通常はお酒は用いません。
漬けすぎると味が濃く醤油辛くなってしまうので、ドブ漬けにしないで魚の厚みを考慮して少なめの地に30分~2時間くらいまでの漬け時間を目安にします。
若狭柚庵焼が合う魚
今回つくる料理に合う魚は、一般的に若狭焼、柚庵焼にされる魚ならなんでもあいます。
たとえば・・・
真鯛
甘鯛・アコウ
いとより
サワラ
タチウオ
すずき・チヌ
ブリ
カマスなど
若狭柚庵焼のつくり方
まずは材料の確認と、準備をしましょう。
【2人前】
切り身もしくはカマ 80~100g前後のもの 2つ(今回はすずきのカマ)
塩 少々
すだち 1/2程度スライス(飾り用)
●漬け地
日本酒 大さじ1
白だし 小さじ2
みりん 大さじ2
淡口醤油 大さじ1~1と1/2
※(味をきいてから、塩分と甘みを考慮)
すだち 1個分
醤油辛くなってしまいがちな柚庵焼の地を、若狭焼の要領で日本酒とだしを用いて上品に仕立てます。
だし取りは時短の為に省いて、市販の白だしを用いました。今回使った白だしがこちら↓
なんでもいいですが、僕の伝えたい味をより再現して頂くために、なるべく同じ材料を使って頂きたいです。
下味をつける

魚に軽く塩を振り、下味をつけ余分な水分を外に取り除きます。塩は調味というよりは下味です。軽く振りかけましょう。

このときに皮目にはあとで味がまんべんなく染み渡るように切れ目を入れておきましょう。
この状態でしばらく置きます。
漬け地を合わせる
まずは漬け地を合わせます。材料をすべて入れて混ぜ、すだちをぎゅっと力強く絞って果汁を加え、皮ごと地に放り込みます。
このサイトの釣果メシでは何度も言っていますが、日本酒を使う料理には料理酒よりも、日本酒独特の吟香がする上質なもののほうが料理が格段にレベルアップすると僕は思っています。
地に漬ける

下味をつけしばらく置いたら、キッチンペーパーで浮いてきた水分を拭き取ってから、バットに流した地に身側から漬けていきます。
漬ける地が少ないように感じると思いますが、これくらいで十分です。出来上がりを食べたらわかりますが、大味にならない上品さを保つためにこれくらいでいいのです。

上に絞ったあとのすだちを置いて、きれいなキッチンペーパーで覆い、このまま冷蔵庫で1時間寝かせます。

1時間経過したら、魚を裏返しにして皮目を下にして、同じ要領でさらに1時間寝かせます。

裏オモテ、合計2時間漬けたら別のバットに取り出し、漬け地は後程焼く際に塗りながら焼くので別皿に取っておきます。
薄味で少量の地で漬け、じっくり時間を掛けて上品な味を引き出すことがコツ!
焼く

水気を軽く切ったらグリルで火を通します。これくらい火が通ったところでハケを使い全体に漬け地を塗ってさらに焼きます。片面2回ずつ塗るくらいでオッケーです。

これくらいの焼き色が着いたら裏返し、皮目も同様に焼いていきます。
皮目も焼けたら完成

皮目も地を塗りながらこれくらいにいい感じに焼き色がついたら完成です!

お皿に盛り、輪切りのすだちを添えて供します。お口直しに酢漬けにした茗荷や葉生姜などを添えるとより料理が映えます^^
一度試しにチャレンジしてみてください。これまで食べたどの柚庵焼とは違う上品な味わいと、薄味の中にも感じられる深い旨味を感じ取ってもらえるはずです。