すずきのブーリッド!にんにくソースのコクが効いたつけて食べるパンも美味しい南仏風スープ

釣れたシーバス(すずき)でつくったブーリッドのつくり方について解説します。

昔南仏のプロヴァンスに行った際に食べたブーリッドの美味しさに感動したことが忘れられず、ちょっとだけ背伸びしてあの時食べた本場の味を再現してみました。

いつもの釣果メシとは違った拘りの詰まったすずきのブーリッドをどうぞご覧ください。

ブーリッドとは

ブーリッド(Bouillid)は、南フランス・プロヴァンス地方の伝統的な魚料理で、特に地中海沿岸で親しまれています。日本人はブイヤベースのほうが良く知られていますが、ブーリッドはよりシンプルで、白身魚を中心に使い、ガーリック風味のスープで煮込むのが特徴です。

魚と一緒に煮るのは、ジャガイモや時には玉ねぎなど。魚介の旨味が溶け込んだスープには、「アイオリ」と呼ばれるニンニク入りソースを加えたり、添えて食べるのが一般的です。パンにスープを染み込ませたり、アイオリを塗って一緒に味わったりと、食べ方も多彩。

素材の持ち味を大切にした、南仏らしい素朴で奥深い味わいが魅力の料理です。より南仏の家庭の魚料理です。

にんにくの効いた魚スープ
決め手はアイオリ
日本では豪華な魚料理に見立てられるけど、本物は南仏プロヴァンスの素朴な家庭料理

アイオリソースとは

アイオリソースは本場ではオリーブ油と卵黄に塩とにんにくのすりおろしのみを使った乳化させたソースで、油と卵黄を混ぜて乳化させるので”ニンニクマヨネーズ”と形容されることも多いもったりとしたソースです。

そのため日本では酢を加えマヨネーズ風に食べやすくなったものなどが存在していますが、本格的なアイオリは酢は入っていないのが普通です。ここでは本場のレシピに合わせました。

南仏では実際にスープのコク付けや、パンに塗って、煮たり蒸したりした魚に塗って食べたりされています。

ブーリッドが合う魚

今回はすずきを用いて作り方を解説しますが、基本的に白身魚ならばなんでもいいです。本場南仏プロヴァンスではすずきの他に、エイや赤ボラなど大衆魚も加えられます。個人的に日本で食される魚の中でブーリッドが合うと思われる白身魚は順番にいくと・・・

すずき
チヌ
アカエイ
真鯛やアコウ
ボラ

【本各派】すずきのブーリッドのつくり方

●アイオリ
卵黄 2ケ分(M玉)
にんにく 10g
オリーブ油 70cc
サラダ油  40cc
塩ひとつまみ
●材料(2人前)
すずきの頭・あら骨 300~350g ※60cmサイズすずき1尾分
白ワイン(辛口) 80cc
クールブイヨン 300cc (顆粒など市販のもので可。その場合野菜だしのみのもの)
にんにく 10g
塩 お好みで適量

前述したとおり、日本国内でフレンチレストランなどでは大きな魚の切り身がメインとなってスープというよりソースとして立派な料理になってしまっていますが、

僕がプロヴァンスで食べたブーリッドはほんとに単純に白身魚のあら骨を使った素朴なクリームスープでした。今回は気をてらわずに素朴な料理そのまんまを再現したいと思います。

アイオリを準備

まずはアイオリをつくっておきます。ここも本場で食べたそのままの味を再現したかったので、酢など卵黄と油、にんにく以外は使用しません。これけっこう時間がかかり、コツがいるので省いても可能。市販のアイオリソースを使っても結構です。

皮とヘタを取り除いたにんにくレンジで20秒ほど加熱します。そのまますり下ろすとえぐみが残ってしまい、加熱しすぎると香りが飛んでしまうので加減が必要です。これをすり下ろします。柔らかくなりすぎた場合はまな板の上で包丁で叩き潰してペースト状にできます。

アイオリを準備|すずきのブーリッド

分量計ったオイルを用意して、卵黄に予めすりおろしにんにくと塩を加えて軽く混ぜておきます。

そこへ、少しずつオイルを加えながら泡だて器で混ぜます!

ここがキーポイントで一番大事な作業、ほんと少しずつ…1滴ずつでもいいくらいの本当に少しずつ。これを守らずに焦って一気に入れてしまうと油と卵黄が混ざらす分離してしまい、一旦分離するともう元には戻せません。ミキサーなどでやってもいいのですが分量が少ないのでいろんな箇所にくっついてしまい後が大変。

手でゆっくり混ぜていき20~30分ほどかかります。この工程が嫌なひとはここを省き市販のアイオリをおすすめします。

下記のようにオイルをすべて加えてもっさりしてきたら完成!ちょっとにんにくが粗すぎてますけどご愛嬌…ww

アイオリソース完成図|すずきのブーリッド

保管の目安

酢の入っていない本場のアイオリのつくり方ですので、そのためあまり日持ちしません。早めに使い切りましょう。

このブーリッド以外でもパンに塗ってトーストして贅沢なガーリックトーストにしたり、蒸した野菜や揚げ魚のディップソースとしても美味しく頂けます。

魚の下処理

魚の下処理|すずきのブーリッド

用意しておいた魚の頭とあら骨に軽く塩を振り、塩の浸透圧で余分な水分を抜きます。余分な水分とともに生臭みを消す大事な工程です。

魚の下処理|すずきのブーリッド

5,6分ほどすると魚に写真のように水が浮きあがってくるので、キッチンペーパーで軽くトントンと拭いてやります。間違っても水洗いはしないでください。水分を抜いた意味がなくなってしまいます。軽く塩気が残っていて構いません。

白ワインとにんにくで香りづけ

白ワインとにんにくで香りづけ|すずきのブーリッド

鍋底にスライスしたにんにくを、まんべんなく置き、水分をふき取ったすずきのあらを鍋に並べていきます。用意しておいた辛口白ワインをふりかけて火を入れます。

このときに使うワインは辛口がいいです。味を左右してしまう甘いものよりも辛口。料理用ワインよりも香りが立つものであればなおさらいいです。僕は1本(720ml)500円くらいの辛口白ワインを使いました。

フタをしないでアルコール分が飛ぶまでひと煮立ちさせます。

ブイヨンを加え魚の味を煮出す

ブイヨンを加え魚の味を煮出す|すずきのブーリッド

アルコールが飛んだら野菜の味のみのクールブイヨンを加えてしばらく煮て、魚の旨味をスープに落とし込んでいきます。

クールブイヨンは魚の旨味が生きる香味野菜のみのものが良いです。固形や顆粒のものでいいので分量分つくって加えます。

アクが出てきたらこまめにアクを丁寧に取り除きながら10分ほど火を通します。

スープを調味

スープを調味|すずきのブーリッド

魚の旨味が引き出せ、魚に火が通ったら一旦魚を取り出して、アイオリ大さじ1ほど入れてコクを加えます。ダマが出来やすいので即かき混ぜて伸ばしていきましょう。

そこで生クリームを入れて、味をきいてみて塩味が足りなければ塩のみで調味します。

器に盛って完成!

すずきのブーリッド

器に盛って、アイオリを塗ったバゲッドを添えたら完成!

このスープに魚の火入れの際に一緒に皮をむいて輪切りにしたポテトを加えても美味しいです。

スープを浸けて食べるパン|すずきのブーリッド

このスープはにんにくの香りが非常に効いてる魚のクリームスープで、浸して食べるパンも美味しいんです!絶対パンと一緒に召し上がってください。

すずきのブーリッド

ほほの身を乗せてスープに浸しながら食べて絶品。

自分がプロヴァンスで食べたときの驚きはないですが(汗)、かなり再現性のあるものが出来たと思います。本当に美味しい。南仏風の家庭の魚料理をぜひ!