釣ってきた魚でつくる魚料理の今回は、最近巷で人気沸騰中「酸菜魚」のつくり方とレシピです。
ほどよい酸味とピリリとした辛さが美味ししい魚の中華風スープです。また食べたくなるやみつきになる美味しさです。
今回は本場の味を忠実に再現した料理と、少しアレンジしたもの、2種類をつくってみました。
酸菜魚(スァンツァイユー)とは
酸菜魚(スァンツァイユー)という魚料理は中国の白菜の漬けもの(酸菜)と青唐辛子、花椒をつかってつくられた魚のスープのようなものです。中国ではソウギョが用いられます。
起源は諸説ありますが、漁師が農家の人と魚と白菜漬けを物々交換したことで出来た料理だというのが有力とされています。
僕がはじめて食べたのは台湾だったので台湾料理かと思ったら元は中国料理で、台湾でブームになっていたらしく普通にごはんと一緒にテイクアウトできるお弁当屋さんみたいなところでも売っていました。その余波が日本にも波及してきて、最近日本でじわりじわり話題を呼んでいる魚料理です。
夏に食べたくなる美味しい魚料理です!!
こんな魚が合う!適した魚種
本場中国ではソウギョが用いられ、台湾ではミルクフィッシュ(日本でいう沖縄で釣れるサバヒー)などが使われることもあります。どちらも白身魚ですが、日本ではあまり馴染みがなく釣って食べるのも至難の業…。
ということで一度僕が食べた時の感じと、味付けに相性の良さそうな魚を選んでみました。淡白な白身魚全般はどれも合いそうですが、青唐辛子と花椒、にんにくなどが効いているので川魚や磯臭さなどが残りやすい多少のクセのある魚の方が美味しくなるのではという印象です。
チヌやスズキ
外洋のボラ
きれいな川のニゴイやウグイ
赤エイ
サワラや脂身の少ないハマチやヤズ、シイラ
など…
これ以外でも、ほぼ白身の魚全般(サケやマス類も含む)、サワラや脂身の少ないハマチやヤズ、シイラなどでも合いそうな気がします。
逆に向いていないと思われるのは脂の多い魚。せっかくのさっぱりとした味わいが生臭さが際立って半減してしまう気がします。今回は釣ってきたチヌを用いました。
材料のチェック
今回は本場のつくり方を忠実に再現したものと、少しアレンジした2種類をつくってみました。
【2人前】
①
白身魚の切り身 100g
日本酒 小さじ1
塩 少々
片栗粉 小さじ2
卵白 1/2ケ分
②
白身魚の切り身 60~80g 2切れ
塩 少々
●スープ(①と②それぞれ1回分)
にんにく 1片 (約6g)
生青唐辛子 1本
にら 適量 (束の中から茎2本分くらい)
白菜漬け 100g 水気を切った状態
青花椒(乾燥) 適量 (約10~15粒)
ごま油 小さじ1
水 500cc
丸鶏がらスープ 大さじ1
いちばんの味の決め手となる白菜漬けは中国産の良質の酸菜が手に入ればいいのですが、国産の白菜漬けでもOK!
ただし、その場合塩や酢以外の余分なものが出来るだけ入っていないものが良いです。ゆず入りとかじゃないほうがいいです。僕は普通にりんご酢と塩のみの市販品でつくりました。
もうひとつの大切な材料が青唐辛子!必ず生のものを使ってください。フレッシュな辛みが全然違います。

酸菜魚(スァンツァイユー)のつくり方
まずは①の本場の本格派のつくり方から解説します。
1.①魚の下準備

魚を皮付きのまま、食べやすく、それでいて魚の身をしっかり味わえる厚めのそぎ切りにします。この時の切り身はしっかり骨を取り除いておきましょう。

カットしたらボウルに移して、①の材料をすべて入れて魚の表面にまとわりつくように和えていきます。卵白は入れる前に少しだけ泡立てたほうが絡みやすいです。
和えたらボウルごとそのまま冷蔵庫で寝かせておきます。冷やしておかないと卵白が剥がれてしまうからで、密着させるためです。短時間でも冷蔵庫に入れておきましょう。
2.スープをつくる

まずは野菜をカットします。白菜漬けは水気をしっかり切って食べやすい大きさにカットします。にんにくはスライス、生の青唐辛子は食べるのであまり小さくし過ぎずに斜めに輪切りにします。ニラも切っておきましょう。

鍋にごま油を分量分敷き、白菜漬けとニラ以外の材料をすべて加え、にんにくがきつね色になるまで炒めます。

きつね色になり、にんにくや花椒の香りが立ち込めてきたら白菜漬けを投入し、軽く炒めます。

少し白菜にも火が通ったら水と丸鶏がらスープを加え、ひと煮立ちさせます。
3.魚をスープ煮する

ひと煮立ちさせたところで、先ほど冷蔵庫で寝かせた卵白などで和えておいた魚を投入し煮ていきます。
このとき白いアクが出ますが、アクと卵白の泡立ちが出てくるので、アクは取り過ぎないように控えめにしておいたほうが美味しく仕上がります。
魚に火が通るまで弱火で煮ていきましょう。
4.①の完成

魚に火が通ったら、ニラを加えてサッと火を通したら①の場合、これで完成です。器に盛って供します。
②アレンジ版のつくり方
次に②のアレンジ版の魚の下準備をします。

魚の切り身に塩を軽く振り身を締めます。
②ー1.アク抜きをする

鍋にお湯を沸かし、完全に沸騰したら魚を穴あきのお玉などで熱湯の中にサッとくぐらせてアク抜きをします。
サッとでいいので、お湯にくぐらせたら氷水をいれたボウルに入れて冷やしながら、魚についたアクの膜を取り除きます。

②ー2.皮目に焼き目をつける

アク抜きしたら、バーナーで魚の皮目に焼き色を付けます。香ばしさを引き出し余分な脂を落としていくためです。火を通しすぎないように香ばしい香りと焼き目がついたらOK
このあとは、①の2.~3.と同じ工程でスープをつくり、その中にこの魚をまるっと投入してスープ煮していきます。

②の完成!

魚に火が通りしっかりスープにも魚の旨味が溶け込んだら完成!一人前ずつ器に盛りつけて供します。
辛いのが苦手な人もハマる美味しさ

青唐辛子と花椒のピリリとした辛さがあるので、辛いのが苦手な人は「ちょっとな…」なんて躊躇してしまいますが、辛いのが嫌いだったうちの嫁さんに食べさせたところ・・・
「辛い!!…けど、美味しい♡」
何一つ残らずスープもしっかり飲み干してました^^/
辛いのが好きな方にはもちろん病みつきになる美味しさです。白菜漬けの酸味と辛み、にんにくと魚のうまみが溶け出したスープに、①は卵白と片栗粉をまとっているのでプルンッとした触感。②は香ばしい食べ応えのある魚と、魚の味がさらに引き出されたスープになりました。
あっさりとごはんのおかずにバクバク食べたいのなら①の本場のつくり方で。少し魚を多めに食べたい&濃厚な魚のスープを味わいたいなら②を、お好みでどうぞ!