シーバスには様々なパターンが存在し、中には非常に攻略しにくいプロアングラーでも難しいといわれるパターンも存在します。そんな難しいパターンのひとつがハクパターンです!
夏場からの温暖な気候からはじまるイナッコパターンと混同されやすいですがが、違ういます。あとで詳しく説明します。
春~夏入りまでのベイトパターンの特徴として、ベイト自体のサイズがとても小さく、それを選り好みして食うシーバスもそのことをよく知っているために非常にルアーのサイズに対してもセレクティブになることがハクパターンの難しいいといわれる所以になっています。
ひとつひとつ順を追って、解説していきます。
そもそもハクって何?

ボラは海の沖合で産卵されその場で育ち、秋、冬の間で孵化した稚魚であるハクは少しづつ成長しながら春先になると沿岸に近づいてくるボラの稚魚のことを指します。体長が3cm~5cmほどのごくごく小さなベイトのことをこう呼びます。
もう少し大きくなるとイナッコと呼ばれるボラの幼魚になる。
ボラはご存知出世魚でそれぞれ成長に合わせて呼び名が変わる。また地方によっても呼び名が変わるために混同されやすいです。
10cm未満を総じてハクと呼ぶ地域もあるそうですが、10cmを超えるとイナッコと覚えておいて間違いないと思います。
ハクとイナッコではサイズも釣り方も大きく異なることを覚えておきましょう。
ハクパターンとは
そのハクの群れを狙うシーバス。これをこの時期待ち構えているのがシーバス。そこで成立するのがハクパターンというわけです。
シーバスは、特定のエサを食べる技術を身に着けておらず、その時々にいちばん食い易いベイトを選んで捕食する習性を持っています。そのため時期によってメインベイトとなる小魚が変化します。その中のひとつがハクパターンなのです。
ハクパターンの時期
ハクパターンはシーズナルパターンでいうと、春~夏くらい。地域によって差があるため一概には言えませんが、5月くらい~7月がだいたいの目処で、8月いっぱいまで続く地方もあります。
総じて早春のマイクロベイトパターンからの延長と考えるとイメージがしやすいと、思います。
ハクパターンの釣り方
ここからはハクを食っているシーバス攻略のためのポイント選定から、釣りやすい潮周りと釣り方を解説します。
ポイント

ハクは10cmに満たない大きさの稚魚なので、複数の群れをなして泳いでいる。その群れを見つけるところから始まります。
港湾部、漁港、河口、河川の護岸などどこでも、ハクの群れを目にすることができます。
が、ここで大事なのはシーバス着きの群れかそうでないかの見極めが必要
捕食しているシーバスが着いている群れは比較的大きくて、固まっているのが特徴で、また、水中で捕食されているので水面がわちゃわちゃと騒がしくなっていることが多いです。
逆にシーバスが追っていないハクの群れは、数カ所に散らばっていることが多いです。
これらを見極め、そのあとの釣り方で攻略術を絞り込んでいきます。
潮周り
ただ、散らばっている群れも、時合の潮の動くタイミングでシーバスが着いていない群れでも追いまわし捕食しはじめることもあります。小さな群れでシーバスが着いてなさそうでも、潮周りのタイミングさえあえば食ってくることも十分にありえます。
ハクは体が小さく泳ぎもままならないため移動距離もさほどあるわけではなく、潮の流れに乗って流されるしかなく、追い回されたときに逃げ場を失い護岸のシャローに追い立てられてきます。その際に護岸を壁として追い込んで逃げ場を失ったところをシーバスが捕食します。
ハクパターンは河川の中流域より下流~河口付近の下げ潮をいかに攻略するかがカギです!!
流れが集中する、時合の時の流れのヨレに集まりやすいです。
また河口でも下げ潮が進んで水深が浅くなったシャローエリアでは、おのずと小さなハクも必然的に流心へと身を隠す。
ハクの密集度が高くなったそのヨレや流心の近くでシーバスがスタンバっていることもあります。
シーバスが着いている場合は、表層~水面直下から狙う
群れは確認できるが、食っていない状況では少しレンジを下げて中層から
ルアーのアクションとリーリング
春のシーズナルパターンの特徴で、「サイズが小さい」、「泳ぐというより流されている」。これらを考慮するとおのずと誘い方もなんとなく見えてきます。
小型ミノーやシンペンを使ってアクションすることはおろか、リーリングスピードはゆっくり流れに任せるのが基本。
キモは、ルアーの動きを僅かに感じながら、リールのギア比や性能にもよりますが、2秒に1回転くらいのデッドスロー。ルアーが泳ぐか泳がないかギリギリの速度でリトリーブすること。
または、小型のシンペンやバイブレーションを使ったリフト&フォールも効きます。
それプラス、このあと説明するルアーのマッチザベイトも大事です。
ハクパターンのおすすめルアー
ハク攻略のカギはやっぱりセレクトするルアーのサイズ感が大事だと思っています。
いつもより大げさなくらいに小さくしてやっとマッチザベイトになるくらい、早春の頃のハクのサイズは思った以上に小さく、7月、8月に入っても、5~7cmといったところです。
出来ることなら5cm前後。~8cmくらいまでの大きさのルアーが適しています。
シーバスのベイトの中でも鮎やコノシロ、サヨリなどよりもハクやイナッコのボラ系は泳ぐ力が強い。ブリブリと泳ぐ。だからこそそれを狙うシーバスも波動の大きいルアーに反応しやすい。
しかし、アピールの強いルアーにありがちな場を荒らしてしまい、シーバスをスレさせるのが早くなることもあるので、まず最初の一投目にサーチベイトとして用いるのが好ましいです。
それで食ってこなければシンペンなどに交換したり、小型のバイブレーションにしてレンジを下げたりするといいです。
同じ場所で粘るなら1匹掛けたら交換するなど、ルアーローテーションが必須になります。
マングローブスタジオ マリブ68
数多くのシーバスアングラーが釣果をたたき出しているマリブ78の弟分。
ハク攻略でも実績が多数あります。これの開発にたずさわった大野ゆうきさんも動画で使用しています。
シンペンの中では小型ですが、重さも9.2gもあり飛距離も伸ばせるし、スローリトリーブでミノーのような泳ぎをします。しかもこのルアーの最大の特徴は常に水平姿勢であること。これは他のシンペンでは出せない特技でして、これがシーバスを狂わせる要因ではないかと思っています。

ティクト スピンボウイ 7g
超ミニサイズスピンテールジグ
ハクのような超小型のベイトでも大群でいるとけっこうキラキラとフラッシングしながら泳いでいます。それを再現しながらゆっくりとただ巻きできるのがこのサイズのスピンテールジグ!!
そして軽すぎない、シーバスにはちょうど良い重さとサイズ感でスピンボウイ 7gは最高
スローに巻いてくるだけでフラッシングアピールしてくれます。

アイマ コモモⅡ 65
ハク付き狙いのナイトゲームに!小型で強ウォンブンロール系ミノー
まさに、ハクパターンのために作られたようなルアーのひとつ。小型サイズでも、強いウォブリングの波動を起こすミノーです。
同じような使い方が出来るルアーにラパラCD5があるがあれはなんせ飛ばないので、これは飛距離も小粒ながらそこそこ出せて使い勝手が良く水面直下を広く引いて探ってくるならこれが最適!
使い方は表層をゆっくりただ巻きするだけ!!
水面を群れでぴちゃぴちゃしている状況であるなら、そのベイトの群れの奥5メートル以上にキャストし、軽くトゥイチ入れながらゆっくり近づいていくと下からドンッと出てくる。

タックルハウス ローリングベイト66
ミノーでもなくシンペンでもない…。けどシンペンのような使い方すると釣れる。ローアピールというかほぼアクションゼロに近いノーアピールだけど、なぜか釣れるという、これまた不思議な人気ルアーです。
ハクパーターン攻略で、表層や水面直下でもなく、もう少しレンジを下げたい時にこのロリベ66はバツグンに効きます!

ダイワ ミニエント 57S
最近春のまだベイトのサイズが極端に小さくて、非常にルアーの大きさに神経質なシーバスの頃、表層には浮いてこない下のレンジに居るとき、これを使ってリフト&フォールが効果的
そのような場合には鉄板だと波動が大きすぎて警戒心の強いデカいシーバスほど食ってこない、そんなときにダートもさせやすい小型バイブレーションが適しています。

難攻不落のハクパターンだからこそ攻略できた時の満足感もひときわ
ハクパターンは釣りの上手いシーバスアングラーの中でも苦手としている人が多い難攻不落とされているパターンのひとつです。(個人的にはあまり簡単なシーバスパターンってひとつもないですけど…汗;)、それくらい難しく釣れるまでがけっこう時間が長くてまどろっこしい…。
また、ただ巻きと言えど早春からのマイクロベイトパターンの名残も思いのほか残っているので、超デッドスローが基本形なので、気を抜くとすぐに速巻きになってしまう僕とかは調子がどうもくるってしまいがちでホントに難しいと感じるパターンです。が、そんな苦労の果に得た1尾のシーバスは貴重なもの!そこまでにしてきた苦労も一気に吹っ飛ぶほどの充足感を与えてくれます。
とはいえ、僕はここに辿り着くまでに試行錯誤してのことでしたから、ここで解説した状況や釣り方などを吟味して挑めば僕のように遠回りしなくとも釣果はいくぶん近いはずです。誰もが認める難しいパターンだからこその挑戦し甲斐があります。躊躇せずにチャレンジしてください!