ティップランとは?どんな釣りか仕掛けのことや釣り方を解説します。
通常のエギングとの違いや、もっとも大切な仕掛けやタックルのことを図解付きで解りやすいようにお伝えするほか、
細かい釣り方のアドバイスまで、ティップランで釣果が出せるまでガイドになる手引書となります。ぜひ、最後までお付き合いください。
ティップランとは
ティップランとは、主に秋から冬にかけて人気を集める船からのアオリイカ釣りの一種です。通常のエギング(陸からのイカ釣り)とは異なり、ボートや遊漁船に乗って沖のポイントを狙うのが特徴です。
名前の「ティップラン」は、英語の “tip run”=「穂先で感じ取る釣り」という意味からきており、穂先(ティップ)の小さな動きでアオリイカのアタリを察知する繊細な釣法です。
仕掛けには専用のティップラン用エギを使用し、船の流しに合わせてボトム(底)を取りながらシャクリとフォールを繰り返します。潮の流れや風を読み、わずかな穂先の変化を見逃さずに合わせを入れるのがこの釣りの醍醐味。
多くは遊漁船などから釣るためエギング初心者でも「釣れる!」を実感しやすく、視覚と感覚を研ぎ澄ますテクニカルなスタイルで、ベテランの方まで夢中になれる釣り方です。
ティップランとボートエギングの違い
ティップランとボートエギングはどちらも船からアオリイカを狙う釣り方ですが、釣法に明確な違いがあります。ボートエギングは陸のエギングと同様にキャストして広範囲を探るスタイルで、風や潮に乗せて自然にエギを漂わせるのが基本。
一方ティップランは、船を流しながらエギを真下に落とし、底を取りつつ竿先の動きでアタリを捉える釣法です。そのため、より繊細なロッド操作と高感度なタックルが求められます。簡単に言えば、ボートエギングは「広く探る釣り」、ティップランは「点で感じ取る釣り」と言えるでしょう。
ティップランの時期と時間帯
ティップランは夏以外はどの時期であっても釣れますが、1年のうちでベストシーズンは、アオリイカが冬の低水温期に備えて、水温が安定している沖の深場へと移動しはじめる秋から初冬(9月〜12月頃)です。秋は数釣りが楽しめ、冬にかけては1kgを超える良型も狙えます。
時間帯は朝マズメから午前中が最も実績が高く、潮の動きがあるタイミングが狙い目。日中でも潮流が効いていれば十分チャンスがあります。逆に風が強く船が流れすぎるとアタリが取りにくくなるため、穏やかな日に集中して狙うのが効果的です。
ティップランの仕掛けとタックル

ロッド
ティップランには専用ロッドが適しています。繊細なアタリを捉える高感度な穂先(ティップ)と、しっかりとしたバットパワーを併せ持つのが特徴です。長さは6~7フィート前後が扱いやすく、軽量で感度の高いカーボン素材が主流。イカのわずかな抱き込みを穂先の動きで察知できるため、汎用ロッドよりも専用設計のものが有利です。
シマノ セフィア XR ティップエギング S68M-S/F
リール
リールは軽量なスピニングリールの2500~3000番が適しています。軽く小さいリールのほうが感度が良くて向いていますが水深のある場所で底を取って釣りをするため通常よりも長いラインが巻けるものを選びましょう。巻き取りのスピードと安定感を重視し、ギア比はハイギアタイプを選ぶと手返しが良く、船の流れに合わせたテンポのよい釣りが可能です。
シマノ 23バンキッシュ 2500SHG
ライン
ラインはPE0.6~1号程度が一般的で、感度と操作性を重視します。細いラインほど潮の抵抗が少なく、エギの動きをよりダイレクトに伝えられますが、ティップランの場合は船から沖合の水深のある場所を探ってくるので摩擦に強い太さも求められます。また、風や潮が強い日は1号まで上げるのも有効。カラーマーク入りのラインを使えば、水深や底取りの把握がしやすく、アタリの取りこぼしを防げます。
シマノ タナトル8
リーダー
リーダーはフロロカーボンを使用し、太さは一般的なエギングよりも太いPEに合わせて2~3号を用います。長さは水深のある場所で底の岩礁帯に接することも想定して1~2ヒロ(1.5~3m)ほどが目安です。岩礁や底ズル引きによるスレ対策として、耐摩耗性の高い素材を選ぶと安心。ノットはFGノット等一般的な結び方で問題ないですが、小さく丁寧に組み、ガイド抜けをスムーズにすることが大切です。リーダーの太さは状況に応じて微調整し、自然なエギの動きを意識しましょう。
バリバス アバニ エギング プレミアム VSP フロロカーボン 30m

エギ
ティップランには奥深くまで素早く潜り底取りしやすい専用エギを用います。通常のエギよりも重く(30~50g前後)、速く沈む設計になっています。深場や潮流のあるポイントでも底をしっかり取れるのが特徴です。カラーは日中ならナチュラル系、濁りや曇天時はアピール系が効果的。アタリの出方や水深に応じて、ウエイトやカラーをローテーションすることで釣果アップが期待できます。
DUEL エビQ TR(Ebi Q TR)

またポイントによる水深の深い場所など、専用の着脱式のシンカーを用いることでも重さを調節することが可能です。
DUEL クイックTRシンカー
ポイントの探し方
ティップランでは、アオリイカがエサを求めて集まる岩礁帯や藻場の周辺、水深15〜40mほどの斜面が好ポイントです。潮が程よく流れている場所を選ぶことで、エギが自然に漂いやすくなります。船を風や潮に乗せて流しながら広範囲を探る「ドリフト釣法」が基本。底を取りやすく、かつ根掛かりしにくいポイントを船長と相談し見つけていくことがコツです。
ティップランの釣り方
ティップランの釣り方はしっかり、ボトムを取って誘いのアクション(シャクリ)を入れたら止めてステイして抱かせます。簡単そうに聞こえますがこの一連の動作をしっかり行い繊細なアタリをキャッチすることが肝心になってきます。
しっかり底を取る
ほんの少しだけキャストするか、そのまま船弦から真下へ仕掛けを落として底取りします。流れが速いポイントだったりする場合には、スルスルッと出ていたラインが急に止まったり、糸ふけが出来てきたりすると着底のサイン!
慣れてくればロッドとリールを伝ってゴンッと着底したことがわかるようになります。
シャクったらステイ(止める)
エギを底まで沈め、ラインテンションを感じながら軽く2〜3回シャクリ上げます。その後はエギを自然にフォールさせ、イカに抱かせる「間」を作ることがキモになってきます。
アオリイカはフォール中や着底直後に抱くことが多いため、リールを巻き過ぎず、竿先の変化を注視しましょう。糸ふけを作らずにロッドを水面と平行に構え、ロッドティップとラインが90℃(直角)になるようにすると僅かなアタリも逃さずに感じ取れます。
アタリの取り方とアワセのタイミング
ティップラン最大の魅力は、穂先に出る微妙なアタリを見極める瞬間です。アオリイカがエギを抱くと、ティップが「わずかに戻る」「止まる」「震える」などの変化が出ます。
そのサインを見逃さず、軽く聞き合わせをして重みを感じたら、しっかりとアワセを入れましょう。強すぎるアワセは身切れの原因になるため、ロッド全体でふわ~っと持ち上げるイメージが理想です。
ティップランはエギング初心者にもおすすめ!
ティップランは通常のオカッパリからのエギングよりも釣果が出しやすい釣り方です。使うエギの重さや、釣り方もアドバイスしてくれ、釣れる場所を熟知しているティップラン専用の遊漁船に乗ればなおさら釣れる確率は高まります。
ですからエギングをこれからはじめようと考えている方には特におすすめと言えます。一般的なエギングからはじめてよいですが、初心者の方がこれから長くイカ釣りを続けていくうえで最初の早い段階で「釣れる」という体験を味わっておくことは大切なことだからです。
もっともエギングのベテランアングラーでも、日頃の釣り方とは異なり数釣りも可能なため違った楽しさを味わえる魅力がティップランにはあります。ぜひ、興味を持っている方はその楽しさを体感してください。